2015年 06月 24日
Wi-Fi・PC・電話・テレビ・ラジオが禁止の街

「Wi-Fi・PC・電話・テレビ・ラジオが禁止の街とは?」より転載します。

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アメリカのある地域には一切の電波を遮断し、携帯電話やラジオの使用が禁止されている街が存在します。一見すると不便で現代人にとって住みにくい街ですが、その街に「電気製品を長時間使うことで電磁波を浴びた身体が過剰反応を起こし、目がかすんだり頭痛やめまいが起こったりする」という電磁波過敏症を患う人たちが集い、静かな争いが起こっています。

The town that banned Wi-Fi | Technology | The Guardian
http://www.theguardian.com/technology/2015/jun/21/the-town-that-banned-wi-fi

アメリカ・ウェストバージニア州のグリーンバンクは「電波のない街」として知られています。ライターのEd Cummingさんが2015年3月上旬にグリーンバンクを訪れたところ、街に近づくにつれて車内のラジオの音は徐々に消えてホワイトノイズに変わってしまい、携帯電話の電波も圏外になったとのこと。

Cummingさんが持つラジオや携帯電話に電波が届かなくなった原因は、グリーンバンクの街にあるアメリカ国立電波天文台(NRAO)グリーンバンク望遠鏡です。ブルーリッジ山脈を背に建設されたグリーンバンク望遠鏡は、星、星雲、超新星などを観測するための電波望遠鏡で、星の発するわずかな光をとらえるために、望遠鏡が誤作動を起こさないようにあらゆる電子機器を遮断しているというわけです。街では電子レンジや電気毛布に至るまで、規格を満たさないさまざまな家電製品の使用が禁止されているとのこと。

グリーンバンクの街中には他にもアメリカ国家安全保障局(NSA)の運用する望遠鏡が設置されており、電波が遮断されているおかげでグリーンバンクは電磁波過敏症(EHS)に苦しむ人々にとっての楽園となっています。電磁波過敏症は世界保健機関(WHO)の診断基準が作られておらず、病気として明確に認められていないのですが、過去10年間に40人ほどの電磁波過敏症患者たちがグリーンバンクに移住したそうです。人口は百数十人ほどで、街に到着したCummingさんはグリーンバンク市内唯一の大通りを歩きながら、「街は望遠鏡を中心として、学校、教会、図書館、工房、ガソリンスタンド兼スーパーマーケット、公衆トイレ、レストランなどが建っている小さな街だと分かりました」と語っています。

Cummingさんは小さなレストランに入り、ウェイトレスのMaryさんにグリーンバンクに移住した理由を聞いたところ、「小さい街だからみんなお互いのことを知っているわ。この町に移住してくる人は、みんな『電気の声』が聞こえるんです。その状態が正常なのかどうか私には分かりません。でも、別に携帯電話を持っていなくても不便ではないですよ。家ではWi-Fiを使ってインターネットに接続できるので大丈夫です」と語ったそうです。Cummingさんは「電波の禁止されている街でWi-Fiが使えるのか?」と疑問に思ったのですが、Maryさんによると「公にはなっていないが家でWi-Fiを使うことは不法ではなく、時々天文台の職員が『Wi-Fi機器の電源を切ってほしい』と頼みにくる程度です」とのこと。

グリーンバンクに長年住んでいるArnie Stewartさんは、外交官を定年退職した後にグリーンバンクに移住してきたそうで、「グリーンバンクへ移り住んでくる人の数は6年前から増えていて、多くの人は携帯電話の電波塔の悪影響から逃れるために移住を決めたのだと言います。電磁波過敏症の人々は強い電波を受けると視界がぼやけたり、顔に発疹が出たりします。私自身もPCの前に数時間座っていると顔がほてってくるんです」と語っています。

Stewartさんは当初、電磁波過敏症という病気について懐疑的だったそうですが、電磁波過敏症の患者が集まる会合にこっそり携帯電話を持って行ったところ、みんなが携帯電話の存在に気づいたことから、電磁波過敏症という病の存在を確信したそうです。Stewartさんは「電磁波過敏症を患っている人は電波のある環境に慣れなくてはいけないと考え、症状を抱えながらも適応していきますが、一部の人はそうではありません」と言います。

2007年にグリーンバンクへ移り住んだDiane Schouさんは、以前アイオワ州シーダー・フォールズに建つ電波塔の近くに住んでいて、毎日ひどい頭痛や、目のかすみ、顔の発疹に悩まされていたのですが、それが携帯電話の電波によるものだとは気づかなかったそうです。「私の症状はまるで放射線障害のようでした。医者にかかったのですが、診断はあいまいなものでした。そして徐々に電波塔が原因ではないかと思うようになったのです」とSchouさんは当時を振り返ります。

Schouさんは電波の影響が少ない土地を求めてアメリカ中をかけめぐり、スカンジナビア半島の国々や、中央アメリカのニカラグアまで訪れたとのこと。その中でもスウェーデンは電磁波過敏症を身体障害として認定している数少ない国で、政府が患者のための電波隔離地を設定していて、多くの電磁波過敏症患者が集まっています。しかし酪農用の電気柵やコードレス電話の使用は禁止されておらず、Schouさんにとって満足のいく場所ではなかったそうです。最終的にSchouさんはグリーンバンクに移り住むことに決め、家庭内のWi-Fi機器や路上の電線の存在は気になるものの「最悪な世界の中でまだマシな場所です」と語っています。

グリーンバンクの街を住みやすいものに変えるべく、Schouさんは店の誘致を提案。1ドルショップが開店したのですが、店頭のハロゲンライトによる症状が我慢できないとしてSchouさんは店側にハロゲンライトの撤去を依頼します。さらに、Schouさんは他の住人にも不要な照明を消したり電球を変えたりする要求を言い始めたそうです。

Stewartさんは「彼女はやりすぎでした。さらに、Schouさんは仲間の電磁波過敏症患者を街に移住させるなどの取り組みを行っていたのですが、この小さな街には十分な家も仕事もありませんでした」と語ります。そしてSchouさんの暴挙を受けてついに街の集会が開かれました。集会では街の代表者が「1人や2人の電磁波過敏症患者なら黙って見過ごすが、Schouさんが大量の患者を街に移住させるのは常軌を逸しています」と主張し、対するSchouさんは「仲間を助けたいだけなのに、街の人々は電磁波過敏症に苦しむ人々の移住を止めにかかったり、店に入るのを禁止したりするのです」と反論。Schouさんと街の敵対状態は今も続いています。

2014年7月にグリーンバンクに移住してきたばかりのCharlie Mecknaさんは、Schouさんよりも保守的な立場で、「電磁波過敏症患者が電波環境について騒ぎ立てて周りの注意を引くような行動を取るのは、病気に関する本質的な問題からかけ離れています」と言います。Mecknaさんも長年自分の症状がなぜ起こるのか分からなかったのですが、携帯電話と公衆のWi-Fiスポットが原因だと判明したとのこと。Mecknaさんは「街中を歩いているとめまいや吐き気が起こり、ひどい時には耳鳴りも起こりました。グリーンバンクは完ぺきな場所ではありませんが、死にそうになるほどのひどい症状は避けられます」と語っています。

電磁波過敏症に苦しむ人のためのイギリスの慈善団体 Electrosensitivity UKのリーダーであるSarah Dacreさんは、電磁波過敏症の研究が進んでいない理由について「政府が不都合な真実を隠蔽しているのではないか」と予想。Dacreさんは「慣習的な政府主導による病気の研究は、健康被害についての確かな指標にはなりません」と語り、団体内部で独自の研究を進めています。

グリーンバンクを訪れたCummingさんは、「電子機器やインターネットなしでインタビューを行うのは難しく、グリーンバンクは私にとって住みづらい場所でした。しかし、グリーンバンクは電磁波過敏症の患者だけでなく、電子機器やインターネットが常に身の回りにあり絶えずメールの通知に悩まされている現代人にとっても、安らげる場所だと言えます」と語り、電磁波過敏症については「電波などの刺激に対する過剰反応で、本当に症状が起こっているのかどうかを診断することができず、病気かどうかは議論が分かれるところ。しかし、精神状態が不安定になり実際の症状を引き起こすこともあるので、苦しんでいる人をあざ笑うことは誰もできません」と語っています。






by fujinomiya_city | 2015-06-24 15:35 | 電磁波・スマートメーター・リニア他 | Comments(0)


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